もしボクが汚れても
きみは愛し続けてくれるだろうか
『ミケ』
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いつの間にか時は経って、もう季節は冬だった。
この間きみと顔を合わせたのはいつだったろう、ボクは考えながら深くソファに座った。
暖炉の火がいつもより増して激しく燃えているような気がする。
でもボクはきみのように上手に暖炉を使いこなすことが出来ないから。
いつかきみが木の枝を拾いに行くとき、ボクがなにも出来なかったように。
それからぼんやり、窓の外を見る。
ずいぶんと枯葉が散らかっていて、きみが大切にしていた花もすっかり元気をなくしている。
あんなに大切そうにしていた花。
別にきみから代わりに育ててくれと言われた訳ではないけれど、
ボクはきみのように上手く育てることができないから。
花は人の気持ちに敏感なんだって。ボクが育てたらきっとすぐに枯れてしまうよ。
すこしまばたきをしたあと、ボクは二階へのぼっていった。
二階の部屋にはボクのベッドときみのベッドがある。
それと、いつもきみが使っていた茶色い机。
きみがこの机に向かってなにを書いていたか、ボクは未だに知らないんだ。
ただ、目が合うと微笑んだ。
ホコリがかかったフローリングの床と、片付けられていない机の上。
ボクはきみのように上手く掃除することが出来ないらしい。
掃除も、部屋の整理も、きみにまかせっきりだったから。
出来たとしたら、ボクはたくさん働いたのだけど。
いつの間にか、部屋が夕日色に染まっていた。
ああ、また考えすぎてしまった。
いつも気付いてから後悔する。
ふと鏡を見れば、ヒゲも毛も伸び放題の自分と目が合う。
やっぱり、ボクはきみのように上手く生活することができないらしい。
きみが見惚れたボクのきれいな赤茶の毛も、すっかり元気がないんだ。
困ったね。これではきみを悲しませてしまう。
ボクがいつか、目に大きな怪我を負って帰ってきたときのように。
でもやっぱりボクはきみのように上手く毛をとかすことが出来ないから。
だけどきみがキレイだと褒めた黄色い瞳は、唯一まだにごらずにいるよ。
電気もつけず、ボクはベッドの上に飛びのった。
怖い夢を見ると、きみはボクをぎゅっと抱きしめた。
ボクの言葉は通じないから、きみを安心させることは出来なかったかな。
朝起きるのはつらいときみは言った。
ボクの体は小さくて、きみをあたためることは出来なかったかな。
でもきみの面影はまだ此処にある。
きっとボクはきみが思うより強くなかったんだとおもう
なにも出来なかったけど、きっときみに会いに行くことはできる
そうしてボクはベッドのうえ、丸くなって、ふかいふかい眠りについた。